神獣ファミリーは、神として人間たちから崇拝されていたが、時代が変わって信仰心は減り、供物も捧げられなくなった。
そこで、神獣ファミリーは収入が激減して生活に困った。
「このままでは一家心中だ」と家長のパパ神獣が言った。「どうしよう」
ママ神獣が言った。「死が二人を分かつまで。どこまでもお供いたしますわ」
娘神獣が言った。「まだ恋愛もしていないのにそんなのイヤ」
息子神獣が言った。「心中ってなに? 神獣の親戚?」
祖母神獣が言った。「いつまでもゴロゴロしてないで、おまえが働けばいいんだよ、パパ神獣」
結局、パパ神獣は神殿の売店にバイトとして就職した。
(遠野秋彦・作 ©2019 TOHNO, Akihiko)